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Technique

自作デカールを作ろう(作画編その1)

 私がデカール作成に使っているソフトはコーレルドローというグラフィックソフトです。
 グラフィックソフトにはペイント系とドロー系があり、コーレルドローはその名のとおりドロー系です。
 ここで簡単に双方の違いを説明しますと、ペイント系は画像をたくさんの点の集まりで表示し、ドロー系はここからここまで線を引くといったように計算しながら表示しています。
 ペイント系は画像全てが点の集まりですのでファイルサイズが大きくなりますが、ドロー系は画像を表示するための計算データだけなのでファイルサイズは小さくて済みます。
 また、ペイント系は解像度が決まっているので、その画像を拡大していくと縁がギザギザの粗い画像になってしまいますが、ドロー系は、どんなに拡大しても線は滑らかなままです。
 デカールを作る場合は、線を引いて作画して色を塗るといった作業が主となるので、ドロー系のソフトが適していることになりますが、どうしてもドロー系が必要かというわけでもなく、スキャナーから取り込んだ画像をペイント系のフォトレタッチソフトで切り取り、そのまま印刷することもできますし、ワードやエクセルなどでも簡単な図形やフォントもいろいろなものがたくさんあるので、これらから作ることもできます。
 要は図形や文字が書けて印刷ができれば良いわけですね。
 でも、原稿の画像が小さくて不鮮明だったり、適当なフォントがなかったりした場合はどうしてもドロー系で1から作画することになります。
 さて、前置きが長くなってしまいましたが、私が普段行っているデカール作成方法として、原稿となる図柄をスキャナーで取り込み、その図柄をなぞって作画するという作業を、コーレルドローの基本的な操作を通して説明したいと思います。
 なお、コーレルドローの最新版はバージョン]3ですが、私が使っているのはひとつ前の12ですので、もしかしたら操作方法が変わっているかもしれません。  

 初めに描画ウィンドウを簡単に説明します。
@この領域で作画します。
A上段がメニューバー、下段がツールバーです。
Bツールボックスです。図形を作成するためのいろいろなツールが並んでいます。  
 このツールボックスは「フライアウト」という仕組みになっていて、ツールの絵の右下にある▲をクリックすると、関連する違った機能のツールを選択することができます。
C図形に色を塗るためのカラーパレットです。
  
 

 まず原稿となる画像をスキャナーから取り込みます。
 メニューバーの「ファイル」から「イメージの取り込み」、「取り込み」と進みます。
 するとパソコンに接続されているスキャナーの取り込み画面が現れるので、原稿をスキャナーにセットして取り込みます。
 解像度が小さいと画像を拡大したときに不鮮明になり、かといってあまり大きいとファイルサイズが巨大化し操作がもたついて作業しづらいので、私は600dpiで取り込んでいます。
 

 ハセガワ1/200の日本航空B747-400のデカールを取り込んでみました。
 例としてJALのロゴマークのうち真ん中のA+ノの部分を作ってみます。
 ちなみに600dpiで取り込んだこの画像データは9.5MBでそれほど大きくないですが、ものによっては100MBを超えることがあり、パソコンの操作がもたついてイライラすることがあります。
 グラフィック系のソフトはパソコンのスペックがそれなりにないと快適に作業ができないのがツライところです。

 画像を拡大します。
 ツールボックスの上から3番目にある、ズームツール(虫眼鏡の形をしたツール)をクリックするとマウスポインタが虫眼鏡の形に変わるので、そのまま拡大したい部分をクリックすると画面が拡大します。
 同じように右クリックすると縮小することができます。
 なお、私のパソコンのマウスではホイールの操作でもズームしますが、これで操作するとうまくズームされずに画像がどこかに消えてしまうので、ホイールでは操作しないようにしています。

 最初にAの部分を作画します。
 ツールボックスの上から4番目にある、フリーハンドツール(ペンの形をしたツール)をクリックするとマウスポインタが波線のような形に変わります。
 線の開始位置でクリックするとマウスポインタにゴムひものように伸び縮みする線がくっついてきますので、そのまま終了位置でクリックすると直線を引くことができます。
 Aはほぼ直線で構成されているので、各コーナーをクリックしてなぞっていけば簡単にできますね。
 最後にエスケープボタンを押せば線引きを終了することができます。
 後で微調整をするので、この段階では大雑把で良いです。
 なお、必ず始点と終点を結ぶようにして囲むようにしないと色を塗ることができないので注意してください。
 また、最初に引かれる線は黒なので、ここでは見やすいように赤に変えてあります。

 画像をさらに拡大して、線を修正して精度を高める作業を行います。
 ツールボックスの上から2番目にある、整形ツールををクリックするとマウスポインタが黒いくさび形に変わりますので、修正したい図形(オブジェクトといいます。)をクリックします。
 すると線の中心部分に黄色の波線が現れ、図形を修正できる状態になります。
 

 各コーナーにある、グレーの四角形(ノードといいます。)をマウスでつかんで動かし、原稿画像の輪郭に合わせていきます。
 できるだけ黄色の波線部分を輪郭に合わせるようにします。
 

 ノの字と接している部分は曲線となっています。
 最初に引かれる線は直線ですので、曲線に変更します。
 変更したい線をマウスで右クリックしたメニューから、曲線化をクリックします。

 線をマウスでつかんでひっぱると、ゴムひものように伸び縮みしますので、ノの字の曲線に合わせます。 

 Aの右下に離れている足の部分の作画が終わったら、本体部分と合体させる操作(グループ化といいます。)を行います。
 まず、ツールボックスの一番上の矢印の形をした選択ツールをクリックするとマウスポインタが黒い矢印に変わりますので、シフトボタンを押しながら、本体部分をクリックして、そのまま離れている足の部分をクリックします。
 そのままマウスの右クリックメニューからグループ化をクリックします。
 これで本体部分と、右下の離れている部分の位置関係は固定され、同時に動かしたり、色を塗ったりすることができるようになります。
 なお、似たような機能で「結合」があり、これも複数の図形を結合することができますが、それぞれ使う場面が異なります。
 双方の機能は混同しやすいですが、またの機会に説明します。
 

 Aの図形に色を塗ります。
 ツールボックスの下から2番目の塗りつぶしツールのフライアウトから、左側の標準塗りつぶしをクリックします。

 すると標準塗りつぶしのダイアログボックスが開きますので、パレットのタブから黒(RGB100%black)をクリックします。

 図形が黒く塗りつぶされました。
 ここで色が塗られないことがありますが、原因は輪郭線の始点と終点が結ばれていないためですので、どこかで線が切れていないか確認してみてください。
 なお、画面右側のカラーパレットでも色を塗ることができますが、グループ化した図形全体に色を塗る場合には塗りつぶしのダイアログボックスでしかできません。

 輪郭線は消してしまいます。
 ツールボックスの下から3番目の輪郭ツールのフライアウトから、一番左側の輪郭ペンをクリックします。

 すると輪郭ペンのダイアログボックスが開きますので、「幅」の下にある欄内(最初は極細線になっている)から「なし」を選択します。

 すると輪郭線が消えます。
 輪郭線は場合によっては残しておいた方が良いこともありますが、輪郭が複雑で細かい図形や小さい図形は消してしまった方が印刷したときにシャープになります。 

 
 図形を左クリックしたままマウスを動かすと移動することができますので、うまくできているか確認してみます。
 確認が済んだらツールバーにある「元に戻す」ボタンをクリックして元に戻しておきます。

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